チーズの作り方

乳製品の中でも、栄養価が高く保存性に富んでいるのがチーズです。一般的には市販されているチーズのように、チーズは工場でしか生産できないと考えがちですが、実は材料さえ揃えば家庭でもチーズは簡単に作れるのです。そんなチーズの作り方をご紹介します!

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チーズとは

チーズは、遊牧民発祥の乳製品であるといわれています。その昔、シルクロードを渡る交易や街から街への移動の際に馬の背に揺られて移動する遊牧民にとって、欠かせなかったのが牛や山羊のミルクであったといわれています。水分補給と栄養補給に効果のあるミルクは、仔牛の第四胃(焼肉などで言うところのギアラ)から作った皮袋に詰めて腰からぶら下げられていたのです。あるとき、遊牧民がミルクを飲もうと皮袋を手に取ったところミルクは固まりとわずかな水分に分離されていたことに気がつきます。これがチーズの発祥であるといわれています。古代の日本には「醍醐」と呼ばれるチーズのような乳製品があり、これが「醍醐味」という言葉の原点になっているといわれています。

ミルクがチーズになるメカニズム

さて、このチーズの発祥エピソードにおいて重要なのは「どうしてミルクがチーズになったのか」です。馬による振動でしょうか? それとも外気温でしょうか? 実は、ミルクがチーズになった原因は仔牛の第四胃にあります。この仔牛の第四胃にはレンネットと呼ばれる凝固酵素が含まれています。この第四胃は仔牛の時期に最も大きく、消化能力の70%を占めているほどの働き者です。そんな働き者の第四胃はこの時期にのみチーズを作り出す力までも持っていたのです。また、ミルクがチーズになるためにはもう一つ重要な要素があります。それが乳酸菌なのです。乳酸菌は空気中にも存在していますが、動物の消化器官にも多く存在しているといわれています。つまりチーズは仔牛の第四胃に含まれている乳酸菌の力で発酵し、レンネットの力で凝固して生み出されていたのです。

チーズの原料レンネットを巡る発達

チーズはやがて世界中に広まり、クレオパトラやナポレオン・ボナパルトといった世界の偉人たちが愛した食料として歴史に名を残していきます。しかし、チーズを作るためにはレンネットを分泌する仔牛の段階の第四胃が必要になります。チーズ需要のために多くの牛を仔牛の段階で処分しなければならなかったのです。しかし、近代に入りレンネットと同じ性質を持つ酵素を生産する微生物が発見されたことで、チーズ生産業界に新しい可能性が生まれたのです。

「乳酸菌取ってるぅ?」チーズの栄養価とは

チーズは、幼い赤ん坊を育むためのミルクが凝固したものですから、大変素晴らしい栄養価を持っています。必須栄養素であるたんぱく質や脂肪分、骨を作るカルシウムを豊富に含みます。また、チーズはヨーグルトと同じように身体に良い乳酸菌によって発酵されているので乳酸発酵で生み出されるビタミンも豊富に含んでいるのです。また、ミルクでチーズと同じ栄養価を摂るためには必然的に多くの水分を取らなくてはいけませんが、チーズならミルクから水分がすっかり抜けた状態で食べるので、他の飲み物を一緒に味わうことが出来ます。

チーズの大まかな分類

チーズには柔らかい「軟質」と硬い「硬質」、加熱して溶かし固め保存性を高めた「プロセスチーズ」と加熱を行わず乳酸菌の力を残した「フレッシュチーズ」などに大別されます。プロセスチーズは保存性が高いので学校給食などでお馴染みのものです。フレッシュチーズは、イタリア料理ブームで日本にも馴染み始めたものが多いですが近年の牛乳離れへの窮余の策として、牧場が独自に生産しているものも多くあります。

家庭で出来る自家製チーズの作り方!

さて、チーズを作るためには「凝固させるためのレンネットが必要である」「ミルクを乳酸発酵させる必要がある」ことが今までの流れでわかったと思います。一部のチーズにはれ凝固酵素であるレンネットを使わず、酸との反応や加熱によって凝固させるものもあります。ここでは、もっとも基本的なチーズの作り方をご紹介します。

硬質チーズの代名詞・ゴーダチーズの作り方

フレッシュチーズで硬質タイプのチーズとして最も有名なのがこのゴーダチーズです。ゴーダチーズは熟成期間をおくことによってその風味を強め、味わいを深めるのです。チーズは長期保存しにくいフレッシュチーズでも3ヶ月以上の熟成期間を置くことが多いのですが、水分を必要最小限にしか含んでいないので長めの熟成期間を置くことが出来るのです。

ゴーダチーズの作り方・用意するもの

牛乳

まずもっとも大事なのが牛乳です。牛乳の栄養分を凝固させるのがチーズの肝といえるので出来るだけ新鮮なものを使います。また、使用する牛乳は必ず低温殺菌のものにしてください。低脂肪乳などの加工乳ではうまくいきません。

ヨーグルト

チーズに必要な乳酸発酵を行うための乳酸菌の種になるのがヨーグルトです。量的にはスプーン一杯分程度で充分なので、食べかけのものでも構いません。

レンネット

牛乳と同じくらいに大事なのがレンネットです。最近は微生物由来のレンネットが多くインターネットショッピングでも入手することが可能です。家庭でチーズを作るときに使用するレンネットの量は、それこそ耳かき一さじ程度なのでネットで買える程度の量でも充分です。

ゴーダチーズは凝固・結集後に塩分を加えてから整形・熟成させます。普通の食塩でも充分ですが荒塩などの天然塩の方が風味を強め栄養分も加わりますのでこだわってもいいでしょう。

ラップ、湯煎用のボウル、攪拌する道具

家庭でチーズを作る場合、ラップは欠かせない道具です。乾燥させず、外気に触れさせず、保存する時に効果を発揮します。ボウルは使用前に熱湯で消毒することを忘れずに。攪拌する道具は、レンネットが加えられた牛乳からホエーを取り除くために使います。果物ナイフなどでも充分ですが、レンネットとセットになった手作りチーズセットがネット上などでも売られていますのでレンネットを入手するついでに買ってしまっても良いでしょう。

ゴーダチーズの作り方・工程その1

作成する前に、全ての道具は熱湯で煮沸消毒しておきます。雑菌の混入は保存を阻害し味を落とすので注意しましょう。消毒が済んだらいよいよ作成に入っていきます。

ゴーダチーズの作り方・工程その2

まず、ボウルに入れた牛乳を湯煎しながら40度前後まで温めていきます。適度に温まったらヨーグルトを混ぜて、牛乳全体に馴染ませるように攪拌していきます。攪拌が終わったら一度ラップをして温度を維持しながら牛乳を乳酸発酵させます。発酵させる時間は30分から一時間の間です。

ゴーダチーズの作り方・工程その3

乳酸発酵が済んだら、いよいよレンネットの出番です。使用する分量はレンネットの瓶などに書かれているので、必要量のみを使用するようにしましょう。レンネットを使いすぎると苦味が出てくるので注意しましょう。少量のお湯でレンネットを溶き、乳酸発酵した牛乳に加え再度攪拌します。混ざり合ったらもう一度湯煎のままラップをかけ、レンネットの働きが進むよう静かにおいておきます。一時間ほどで凝固が進み、牛乳には固さが出てくると思います。この発酵と凝固が済んだ牛乳をカードと呼びます。

ゴーダチーズの作り方・工程その4

カードを温めながら、全体的に切るようにして攪拌していきます。こうするとカードから水分であるホエー(乳清)が分離して、固まりになっていきます。ホエーとカードが完全に分離しきったら清潔な布などで濾してホエーとカードを分離します。分離されたホエーは別の目的に使えるので保存しておいても構いません。

ゴーダチーズの作り方・工程その5

いよいよチーズの整形に入ります。ゴーダチーズはカードを型に詰めて重石をすることで、残ったホエーを抜き円筒形に整形します。チーズが整形し終えたら塩をまぶすか塩水に浸けるかして、塩分を与え一昼夜ほど冷蔵庫で保管します。塩分が充分に回ったら乾燥させていきます。乾燥させるときは冷蔵庫や扇風機などを使うと早くできます。乾燥したチーズはラップで包むなど空気に触れないようにして、冷蔵庫で保管します。三ヶ月ほどで食べごろになりますが、カビが生えてしまったら失敗です。

ゴーダチーズの味わい方

ゴーダチーズは、プロセスチーズの原材料にも使われるので熱を加えると溶ける性質があります。ゴーダチーズを細かく切り刻んで、牛乳や生クリームと共に火に掛けてチーズフォンデュを楽しみましょう。

ホエーから作るチーズ・リコッタチーズ

さて、工程の途中で分離されたホエーはそのまま捨ててしまうには惜しいほどの栄養が残っています。脂肪分も低くダイエット食品にも適しているホエーはそのまま飲むと酸っぱいので、一工夫加えて美味しくいただきます。その一つがリコッタチーズです。

リコッタチーズとは

「リコッタ」はイタリア語で「再加熱」という意味があり、リコッタチーズは「再加熱して作ったチーズ」という意味があります。レンネットを使わない製法からカッテージチーズと混同されがちですが、カッテージチーズとある程度似たやり方で作ることが出来ます。

リコッタチーズの作り方

作り方は簡単です。余ったホエーを鍋に入れ、火に掛けます。温度が80度前後になってくると熱凝固が始まり、表面に固まりが浮いてきます。これを湯葉などの要領で掬いあげ、ガーゼなどで水分をよく切っていきます。鍋の中のホエーから凝固した固まりが浮いてこなくなったら火を止めて、固まりから水を切って完成です。

手早く出来るカッテージチーズ

賞味期限が一週間程度と保存性に欠けるものの、手早く出来て熟成期間が要らないのがカッテージチーズです。リコッタチーズの代用にも使われますが、牛乳の脂肪分が残っているのでリコッタにはヘルシーさで負けています。

カッテージチーズの作り方

用意するものは牛乳とレモン果汁(生のものを絞ったものでも、市販のものでも構わない)、そしてガーゼや布巾などです。まず、牛乳を鍋に入れ火にかけて60度程度まで加熱します。加熱した牛乳にレモン果汁を注ぎ攪拌します。熱とレモン果汁の酸の働きでホエーが分離してきますので、ガーゼや布巾などでホエーとチーズを分離します。分離したチーズは水の中で包んだまま、酸っぱさを流すようにもみ洗いします。洗ったチーズは、軽く絞って残ったホエーを落とし、完成です。サラダなどに使う時は塩を混ぜてから食べます。

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